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ヘンプ繊維の色(生成り)について

ヘンプ100%Tシャツの「生成り」のTシャツの取扱はしていないのか、とお問い合わせを頂いきました。
折角なので、「生成り」と「ヘンプ繊維の加工」について説明します。

生成りとは?

生成りとは、「原料そのものの色」を指します。通常、天然繊維の原料は何かしらの色味(色素)を有していることが多いです。

コットンであれば、すこしくすんだ白、クリーム色、グリーン、薄いブラウン(茶綿)などです。産地や綿花品種によって色味は異なるようですが、一般的に出回っている白いコットンは漂白したものとなります。漂白していないものは「生成り」になるのですが、日本国内ではクリーム色っぽいものを生成りと称することが多いです。また、特徴的な色のワタを集めて紡績した糸は「カラードコットン」と呼ばれたりします。

リネン(亜麻・フラックス)の生成りの色は、古く昔は亜麻色と呼ばれる、白っぽいベージュ・金色のような色をしていたと言われますが、現在の生成りはどちらかと言うとシルバーもしくはグレーがかったベージュものが多いです。

ヘンプ(大麻)の生成りは、黄色みかかったクリーム色をしています。夾雑物が多いとくすんだベージュのような色味をしています。

ヘンプ(大麻)の品質・色味に関わる「レッティング」

リネンの生成りの色味が昨今では違っていることに触れましたが、この変遷には「レッティング」という繊維を取り出す工程が大きく関わります。

リネン・ヘンプなどの茎の表皮を繊維として使用する植物は、当然、茎から表皮を剥がす必要があります。茎や表皮にはリグニンやペクチンを始めとする繊維間を結着させる物質が多く含まれています。その結着を緩め、茎から表皮を剥がれやすく、また表皮(繊維の塊)の繊維同士を剥がれやすくするための工程が「レッティング」と呼ばれます。
繊維の一本一本が細く長く分離できたものは、細く柔らかな糸の原料となり、つまり品質の高い繊維原料とされます。

様々なレッティング方法がありますが、古くは湖沼や河川に浸ける方法が採られてきました。主に微生物の力で、表皮と茎の間を結びつける物質を分解し、繊維を剥がれやすくします。水に浸すものは「ウォーターレッティング」と呼ばれます。
日本の麻の加工には泥水に漬けて温める方法がありますが、これも微生物の力を利用し繊維がはがれやすくする同様の工程です。これは「タンクレッティング」とされることもあります。
ヨーロッパでは、現在は収穫後に茎を農地に伏せ、夜露や雨と微生物を利用する「デューレッティング」が主流となっています。

なお、このレッティングは繊維の品質だけでなく、色味に影響をおよぼします。
古いヨーロッパリネンの色が亜麻色(金色)であるのは、ウォーターレッティングによるものと言われています。現在は、水質汚染の問題からウォーターレッティングは規制されており、デューレッティングが中心のため、リネンの生成りの色はグレーを帯びたものがほとんどです。
ちなみに、国内の麻の紡績会社の方に聞いたのですが、河川や槽(タンク)に水を張るレッティングにくらべ、夜露や雨を使ったデューレッティングは均質性が低いため、色・品質のムラが大きくなるらしいです。

中国のレッティング規制と今後

なお、Ruderalsのヘンプ100%Tシャツには中国のヘンプを使用しています。肌触り・コスト・エコフットプリントの観点からベストな選択であると考えています。
これまでの中国は、タンクレッティングが中心だったようですが、現在は法規制が厳しくなったようで、ヨーロッパなどと同様のデューレッティングに変えていかざるを得ないようです。
ただし、デューレッティングを行った繊維原料は(タンクレッティングに比べ)色・品質の均質性のレベルが低いという問題があます。そのため、現状ではデューレッティング後に漂白・精錬をまとめて行っているようです。今後は中国産の生成りの糸は一般的ではなくなるようです。(※もちろん紡績工場によっても状況は違うため例外はあるかと思われます。)

上記のような理由で、おそらくRuderalsでヘンプ100%の生成りTシャツを作ることは難しいかもしれません。
生成りが好きな方々には悲しいお知らせかもしれませんが、以上が中国の原料加工の規制強化とヘンプの生成り色についてのまとめとなります。ご理解のほどお願い致します。